おなじみゲーム用コントローラの反応速度を調べるコーナー第三回ですが、今回は各方面からご要望の多かった一般的にUSB変換機と呼ばれるもの、なかでもPSのコントローラをUSBに変換するものを計測してみました。
ひとまず要望がありましたJOX-U302とSmartJoypad3PlusN、オマケに悪名高いPlusの3種類を計って見ますが、手持ちもまだあるので数回にわけて調査してみようと思います。ちなみに使用機材の詳細についてはこちらのページをご覧くださいませ。
また、変換機の実験に限り、最大連射速度は「周波数カウンタ=連射測定器=jstestの値」でほぼ安定した点とし、そこから更に連射速度を上げるとjstestの値が乱れたり、周波数カウンタと数値が合っていなくても最大連射速度を超える数値が出る点、いわば頂点と言える値を瞬間最大連射速度とします。
どういう意味を持つのかと言うと、瞬間最大連射速度においてグラフの乱れが大きいと例え最大60発と表示されていても実際には時折60発しか出ていない、という場合があります。ここがミソで例えば「連射40発の変換効率!」というキャッチコピーの変換機があったとして、その40発が瞬間最大連射速度だったりすると困る事もあるかもしれないよ、という周辺機器メーカーからカミソリが送られて来そうな値なわけです。
一言で表すと瞬間最大風速みたいな感じです。
変換機の連射測定を行う上で避けては通れない道。連射測定の必須課題とも言われるダメなことで有名なSmartJoypad3Plusです。その昔、2P同時接続の言葉に踊った購入者から悲鳴や怒声があがりまくった事で、一躍ダメ変換機のスターダムにのし上がったエスケイネットのミラクルマシンです。
今回から形式を変えて、測定グラフは下にまとめて、際立って目立った部分の解説をまとめて書いて、といった方法を取ります。DPPのときに書くコトが無くて苦労した反省を生かしてみました。では早速解説したいのですが、最大連射、操作限界、実用連射、実用操作どれをとっても最大7発平均6発のカスっぷりを発揮していますので解説の必要がありません。
最大連射速度 | 操作限界速度 |
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実用連射速度 | 実用操作速度 |
2個目のパッドを繋ぐと連射速度が大幅にアップしました。1P、2P共に最大連射速度25発、実用操作速度も20発で安定と、一般的な変換機より高性能ではないかと思うぐらいの変化です。コントローラ特論さんでも既に検証済みである通り、2コン繋いで常に連射させることで反応速度が大幅に向上するのは事実であるようですが、全く実用的な解決策ではないのでPlusがダメなことには何ら変わりありません。
最大連射速度 | 操作限界速度 |
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実用連射速度 | 実用操作速度 |
1個つなぎではどんなにがんばっても7発。これではコマンド技が出ない訳です。対して2個繋いだ場合は25発まで持ちこたえました。もちろん2コンも連射している状態なのですが。
瞬間最大連射速度 | 瞬間最大連射速度(パッド2個つなぎ) |
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だめ。
と言うわけで変換機界に金字塔を打ち立てたSmartJoypad3Plusですが、これで酷い目にあってしまった人々の間ではスマジョ駄目説が定着し、「後継のPlusNもカスなのではないか」と買い換え時にスマジョを避けるといった事があるようです。では、そういった色眼鏡ぬきでSmartJoypad3PlusNはどうなのか、計測してみました。
Plus並とは行かなくとも1個接続と2個接続で大きな差が出れば1個接続時も載せたのですが、誤差程度の違いしか見られなかったために1個接続時のデータは載せないことにしました。最も安定した連射速度は19発で、この状態であれば方向ボタンを連打させても特に数値が乱れることは無いのですが、実用連射速度と定めた20発を入れるとやはり微妙に乱れが出てきて気持ち取りこぼしが出ている事がわかります。
最大連射速度 | 操作限界速度 |
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実用連射速度 | 実用操作速度 |
PlusNの場合、28発が数値上の最大値になるようです。グラフは所々欠けたり繋がっていたりするものの安定しているように見えますが、数値では28〜25発まで大幅に乱れが出ています。
瞬間最大連射速度 |
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高性能であるとは少々言いがたい所はありますが、変換機としてはUSBの変換機としては及第点なのではないでしょうか。下記のJOX-U302と比較しても性能的に大きな差はあるようには見えません。購入対象となるかならないかは近場で入手可能である場合か、価格的に納得できる場合といったところでしょう。パッドを2個つないで連射したPlusよりも成績が劣るのは何とかならなかったのかなー、と思います。
ところで気が付いたのですが、PlusとPlusNは外見上同じように見えますが実は若干違いがあって、1つはケーブルが直付けであることと、裏面にあるネジ穴の位置が異なることです。これにより、PlusとPlusNは外見で見分けが付く事がわかります。
SmartJoypad3PlusN(左)とSmartJoypad3Plus(右) |
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ではそれが何の役に立つかと言いますと、秋葉原を見て回るとSmartJoypad3と同じ形状で色が違うだけのエスケイネットではない、同じ物なのに違うメーカーの製品があったりします。それの中身がPlusかPlusNなのか、という見分けが外見で付くのではないか?と考えられる訳です。安い変換機を買おうとしているが外見がスマジョに似ている!と思ったらちょっと注意が必要かもしれません。
最近、各所で人気があるJOX-U302です。ウワサでは「非常に反応がよくコマンド技はサクサクでるし値段も安いのでおすすめです」といった感じで評判は上々のようです。そのためか、ウチにも「テストしてほしい」と依頼が多かったので買ってみました。一見するとUSBのケーブルをただ二股にわけてPSコネクタ2つに分岐しているだけのように見えますが、分岐点の丸い所にちゃんといろんな部品がつまっていて、外見こそ違いますが一般的なUSB変換機と同じ構造であることがわかります。DPPじゃないんですからPSパッドをUSBに直結したって動くわけ無いですよ。
JOX-U302も1Pのみと2Pで結果に差がないので1Pは省略します。結果はアレ?という印象です。30ぐらい行くかと思っていたのですが、最大で19発です。時折ピクッと20発を超えたりしますが、周波数カウンタは19のままです。実用速度もそんなかんじでPlusNと殆ど変わらない数値を出しつつ、かといって大きく読みこぼしが発生することもありませんが若干乱れ気味です。
最大連射速度 | 操作限界速度 |
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実用連射速度 | 実用操作速度 |
連射速度をいくら調整しても21発を超えませんでした。そのかわりと言っては何ですが、秒21発以上の信号を入れてもjstestの値は大きな乱れは見られず、21発近辺を保ちつづけます。
瞬間最大連射速度 |
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価格が比較的安いことと、一見ケーブルのみに見えるコンパクトさが利点でしょうか。性能的にはPlusNとあまり変わらず、瞬間最大連射速度も21発程度で収まっています。利点と言えばグラフの通り、連射間隔の乱れがPlusNよりも押さえられているように見れます。
JOX-U302の評価が高い理由をjstestの結果から想像すると、連射の最高値=反応速度は高くなくてもボタン入力の認識に乱れが少ない方が使い勝手が良く感じるのではないかと考えられます。もちろんPlusの秒7発は安定していても論外ですが、安定性さえあれば秒20発程度の認識ができれば性能としては十分なのではないかと感じました。
忘れていましたが検証環境はいつものFV24です。機器構成はいまのところ変えていません。今回は何かと話題の多いUSB変換機を使ってみましたが、またリクエストがあったら遠慮なくどうぞ。できれば次回は手持ちの物でやりたい所です。所持品リストとか作ってそこから選んで貰うと効率いいのかなあ。
それと例によってこれらの検証はもちろん我々が独自に行ったものなのでPC本体の性能や状態により変化があるでしょうし、まだまだ不備な点もあると思います。無闇に信じ込まないで結果は参考程度に考えておいてください。
※お願い : こちらに記載のデータを元に、メーカー、販売元に問合わせ、クレーム等の行為はご遠慮下さい。