高速連射による反応速度査

連射速度の限界に挑戦!第一回

文:所長 / 平研究員

気になるアイツの反応速度計測!

という事で細かな実験機器と実験方法の説明は前のページを読んで頂くとして、これから数回に分けて手元にあるジョイパッドの反応速度を計測して行きたいと思います。念のために、ここでのテスト結果は私たちが勝手に作った測定装置で勝手に計測したものですので、結果は参考程度にとどめてください。

第三科学研究所 サターンパッドUSB化基板

サターンパッドUSB化基板 手前味噌な感じですが、まず最初はサターンパッドUSB化基板で実験内容と手順を確認しつつ計測してみます。製作段階で反応速度を確認&調整しつつ作っているので良い値が出ることを信じつつテスト開始です。

最大連射速度

サターンパッドUSB化基板最大連射速度 ボリューム大で調整してみると毎秒60発を超えたあたりでJSTESTの値が低下してきました。これ以上連射速度限界測定装置の速度を上げるとJSTESTの値が徐々に減少=ボタンの連打を認識できなくなって行きます。ボリューム小で微調整を行うと全てボタンが安定する限界の速度は毎秒61発のようです。測定値のブレも60〜61と非常に少なめです。しかも各ボタンの認識の誤差が少なく、数値がぶれて60発になる時は全てのボタンが揃って60発になります。なので、サターンパッドUSB化基板は最大で毎秒約61発の連射を受け付けることができると言えます。

操作限界速度

サターンパッドUSB化基板走査限界速度 毎秒61発になって安定している所で方向キー連打スイッチをONにします。これにより方向操作を含めた連射速度を測定し、極限状態での処理速度低下を知ることが出来ます。軸は左上と右下をボタンと同じ速度で連打するため、JSTESTでの値はボタンの値のほぼ倍になる筈です。また、ボタンの連射に軸の連打が加わるために処理の低下が見られるはずです。この低下する値が大きければ大きいほど負荷に弱いパッドであり、逆に少ない場合は負荷に強いパッドとなります。

で早速スイッチを入れてみると、最大値が61から60発に低下し、数値のぶれが毎秒60〜61だったのが毎秒59〜61と全体に若干低下しました。軸の動きも連動しており、ボタンのほぼ倍である119〜122を示しています。

実用連射速度

サターンパッドUSB化基板実用連射速度 毎秒20発。人間が手で入力できる限界がこの位だと思います。なのでこの値を実用連射速度とし、装置で毎秒20発の連打を行わせることで通常使用時に入力の乱れがないかを確認します。ボリュームを下げて毎秒20発で固定すると、JSTESTの値も20発〜23発で固定されました。白黒バーの動きも乱れが少なく非常に安定しています。ちなみに、サターンパッドUSB化基板に装備されている連射機能も毎秒20発です。

実用操作速度

サターンパッドUSB化基板実用操作速度 上記の状態にレバー操作を加えることで処理の低下が発生しないかを確認します。例えばボス戦の際に必死で連射しつつ敵弾を避けようとすると自機の弾の発射速度が低下したり反応が鈍くなったりするなんて事があると非常に困るわけです。で、スイッチをONにするとボタンと同じタイミングでレバー左上と右下を交互に連打します。結果としてはレバー操作を加えても連射速度は毎秒20〜23をキープし、特に大きな乱れや速度の低下は発生しませんでした。また、レバーの反応が悪くなるようなことも特にありませんでした。

サターンパッドUSB化基板のまとめ

というわけで結果はまずまずでした。連射最大速度は毎秒61発まで認識と中々の好成績です。また、レバー操作を加えても大きな処理低下は見られず、実用速度でも毎秒20発をキープできる上に数値のぶれが少ない=読みこぼしが少なく感度が良いと言えます。

エレコム JC-U808TDS

エレコム JC-U808TDS あまり評判のよくなかった餃子さんです。見た目や持った感じは悪くないのですが、いかんせんボタンレイアウトが悩みの種です。それとチェックの為にバラしてみたら内部はかなり汚れてました。出てきたゴミの感じからすると製造時の物のようですが、ハンダカスとかホットメルトのかけらが出てくるのはどうかと思います。

最大連射速度

エレコム JC-U808TDS最大連射速度 JSTESTの数値を見つつボリュームを徐々に回してみると設定値33発〜37発で画像のような状態で安定しました。装置側の連射速度が33〜37発でもJSTESTは33発の表示ですので37発までは33発として認識されるようです。それ以上の数値ですと速度が減少して行くので最大値は33発と、ちょっとレスポンス悪げな感じです。

操作限界速度

エレコム JC-U808TDS操作限界速度 上記の状態で安定したので、ここでレバー操作を加える為に方向キー連打スイッチを入れます。数値的に大きな変化はありません。連射速度が低下しましたが速度は33発で安定し、乱れが起こっても最大連射速度よりも1、2発の低下が見らる程度です。

実用連射速度

エレコム JC-U808TDS実用連射速度 実用連射速度を計測します。最大33発なので20発程度の連射でもキツいかと思いましたが割と安定しています。

実用操作速度

エレコム JC-U808TDS実用連射速度 上記の状態はレバー連打スイッチを入れてもあまり変わりません。特に連射速度の減少も見られませんし、大きな数値のぶれも見られません。

JC-U808まとめ

動作中の安定性は高いようですが、最大連射速度が低いのでレスポンスは余り良いとは言えません。USBジョイパッドとしての評価は若干低めといったところでしょうか。

このパッドの評価でよく聞くのがボタン配置の悪さです。仕様は上面6個+LR2各1個+連射ボタンなのですが、これって実は本来上面4ボタン+Start+Select+L1/L2+R1/R2のPS配置にするつもりだったんじゃないでしょうか。もちろんUSBパッドにはスタートセレクトなんてボタンはありませんが、上面のひとまわり小さいボタンはスタートセレクトボタンとして使ってほしくてあの位置と形にデザインされ、連射機能も本来は乗せる予定ではなくてLRボタンだったとすればそんなに使い勝手の悪いパッドじゃないと思いました。結果として今のような形で出荷されているわけでして、デザイナーが何だか有名な人のようですが製品の仕様や内部機構まで口を挟めなかったのだとすると少し可哀想な気がしたりしました。

スピタル産業 CT-V9

スピタル産業 CT-V9 そこそこの機能、それなりの使いやすさ。際立ってすばらしくはないですが、使いやすい物が少ないUSBジョイパッドの中では悪くない評価を得ている人気のあるジョイパッドです。分解して見たときの作りのよさは好感がもてます。なんとなく持ちにくい感じがするのが難点ですが、レスポンスはどうでしょうか。

最大連射速度

スピタル産業 CT-V9最大連射速度 JSTESTの数値に低下がみられたのは50発前後からでした。40発からボリューム小で微調整を行って行くと毎秒46発を超えた辺りが限界のようでしたので、CT-V9の最大連射速度は46発と推測します。ですが、SSパッドUSB化基板やJC-U808のように全てのボタンの連射数が横並びに安定することがなく、連射速度のぶれが毎秒41〜46発と少々不安定なようです。

操作限界速度

スピタル産業 CT-V9走査限界速度 最高速があまり安定していませんが、レバー連打スイッチをONにしました。すると連射速度に大きな乱れが現れました。41〜46発であったぶれが大きくなり、最高速こそ変わらないものの毎秒34〜46発とかなりの乱れがあり、白黒バーも虫食い状態です。しかし、装置の連射速度は間違いなく毎秒約46発で固定されています。

実用連射速度

スピタル産業 CT-V9実用連射速度 毎秒20発の実用連射速度では最高速時と違いとても安定しています。全てのボタンに起こる連射のぶれも均一で、ほぼ同じタイミングで上下にゆれます。ぶれ幅も少なく、毎秒19〜20発で安定した状態を保っています。

実用操作速度

スピタル産業 CT-V9実用操作速度 レバー連打をONにしても、連射速度に大きく乱れは出ませんでした。やはり毎秒19〜20の辺りをゆっくりと行ったり来たりといった感じです。白黒バーの表示には乱れが見えますが数値的には問題なしといった所です。

CT-V9まとめ

最高速度連射な状態での動作に不安がありますが、実用速度での検証結果は良好でした。なんというかまさに平凡な性能で、外見や使い勝手だけかと思われた良くもなく悪くも無くという評価が内部的にも与えられるような感じです。迷ったら買っておいても損は無いと思います。

ここまで書いて

重ねて書きますが、これらの検証はもちろん我々が独自に行ったものなのでPC本体の性能や状態により変化があるでしょうし、まだまだ不備な点も多々あると思いますので、参考程度に留めておくのが吉です。あまりアテにならない結果かもしれませんが、折角こういった場所と機材ををつくれた訳ですから、また暫くしたら測定の第二回を行いたいと思いますので、ご意見やご希望がありましたらぜひお寄せください。

※お願い : こちらに記載のデータを元に、メーカー、販売元に問合わせ、クレーム等の行為はご遠慮下さい。